私がお伝えしているNVC(Non-Violent Communication, 非暴力コミュニケーション、共感コミュニケーション)は、臨床心理学者の故・マーシャル・ローゼンバーグが「人とつながることが上手で、そのコミュニケーション力で大きな社会変革を生み平和に貢献してきた人たちに特有の行動パターンとはなんだろうか?」と調べつくし開発したコミュニケーション・スキルです。
世界各地の対立解消の場でも使われており、企業のエグゼクティブから刑務所、小学校などあらゆるところで導入されています。
参考記事:
殺伐とした企業カルチャーを変えるために、マイクロソフトCEOが幹部に勧めた1冊
「敵のいない世界」に、行ける
NVC界でもっとも頻繁に引用されるのが、こちらのペルシャ詩人・ルーミーの言葉。
Out beyond ideas of wrongdoing, and right-doing, there is a field. I will meet you there.
「間違った行い」とか「正しい行い」という考えを越えたところにある場所。
そこでお会いしましょう。
— Rumi
「良い」「悪い」という評価・判断を外した時、人間同士の暖かさでつながることが容易になります。
NVCは、社会で生き延びるために必要なために装着するよう教育されてきた「評価・判断メガネ」「課題発見・問題解決メガネ」を外して、裸眼で世界の美しさを捉え直す視力矯正とも言えるスキル。その魅力を私なりに一言で表現すると、、、
「敵なし」
「嫌い」「苦手」と感じる人がいなくなり、まるで無敵スターをとったスーパーマリオ状態。
スターマリオですから、相手が誰でも恐れることがなくなります。
自分が傷つかないと確信できると、防御や反撃のための暴力を振るうことがなくなります。
その結果、敵のいない世界が自分の周りにでき、その余裕の中から自分の優しさを素直に表現することができるようになります。
すると毎日が変わります。
コミュニケーションエラーの対応をする、ストレスの高い無駄な作業がなくなります。時間のゆとりが出ると、行動が丁寧になり、人と触れ合う暖かな余裕ができてきます。
すると身近な人との関係性が深まり愛が深まり、生活の質が上がっていきます。
仕事のパフォーマンスも上がります。
そんな良い循環が起き始めます。
生活の質を高める近道はコミュニケーション・スキルを高めること。
それは、この世に敵はいないという意識で生きることだとわたしは体感しています。
NVCの一番セクシーな定義
冒頭の記事にあるように、NVCは企業文化をガラッと変えてしまおうと意欲を持つCEOが投入するような平和兵器です。とても効果的なコミュニケーション・スキルですが、第2外国語としてドイツ語やフランス語を学び始めた時の戸惑いにも似て、自分のものにするのに数年かかります。
分析脳が強い私が、まだNVCを習いたてでいまいち腑に落ちない頃に、衝撃的なまでにNVCの本質に触ったのが、コロンビアのトレーナー、ホルヘ・ルビオのクラスを受けたことでした。
南米の人らしい豊かすぎる表現力で、ホルへはNVCをこのように語りました。
自分の心の正確な気象予報士になれたらいい。
ホルヘ・ルビオ
自分の心の天気がわかると、静かな尊厳と優雅さが生まれる。
それを自分は ”ヴィヴェンシア(vivencia)”と呼んでいる。
ヴィヴェンシアは「今この瞬間(present moment)」にしかない。
自分だけが正確に予報できる、この瞬間の感情を知ることが、NVCの一歩。
この「静かな尊厳と優雅さ」に早くに到達するために、私はNVCに加え、複数のカウンセリングメソッドや人類の歴史で洗練されてきた形而上学を織り交ぜて「無敵のコミュニケーション」という全8回のコースをお教えしています。私にとっては「まほう伝授」と感じる渾身(こんしん)のクラスです。
数年で「敵なし状態」に激変した私の人生
「無敵」の状態は、ヨガやアーユルヴェーダでいう、アヒンサ(暴力のない状態)、サットヴァ(純粋性、調和、満ち足りている、至福、喜び)に近いと感じています。
わたしの無敵度は、現在こんな感じです。NVC的ビフォーアフター。
トップの写真は2019年、44歳、年々すっぴん度が上がりますが、怖くありません(いいのか?!)
NVCで激変したわたしの人生をBefore/Afrerにしてみました。
Before | After |
キレやすい「プッツン・スイッチ」搭載。週に数回は切れる。基本的にピリピリしているので周りを緊張させる | 終始おだやか。切れることは年に1−2回。「レミちゃんでも怒ることあるの?」と言われる |
人への評価と取捨が早い。一度エネミーイメージをつけたらはがさない | 人に期待も幻滅もしない。苦手だなあと感じても、人間性を見てはがすことができる |
声がかん高く、早口、命令口調 | 低くて、ゆったりとした穏やかなトーン。相手を待って、自分の意見を言うことができる |
ADHD気味。やらねばならないことがいっぱいやりたいこともいっぱいで、落ち着かない。インプットが多すぎとっちらかっている | 穏やかに暮らし、瞑想的な美しい毎日。仕事する時は最小限の時間とエネルギーで無駄なくすませ、クリエイティブなものを生み出し、生産性が高い |
外食率95% | 自炊率95% |
周りを傷つけ、走り続ける経営者。夫を許さない妻。ギスギスして笑顔が硬い | 遊びながら踊りながら、家事もつながりも大切にし、年々美しく柔らかく、愛される女性になっている。大家族のような親友たちと支え合い精神的なセイフティネットがある。たまにとっても素敵な男性と恋をし、お互いの人生を潤す |
部下や他人のトラブル対応に追われる。コントロールの意識で余計な介入や代弁をし、嫌われたり、事態を悪化させる | 自分を大切に誠実に生きるので、徒労に終わる作業が発生しない。周囲でのトラブルがほとんど起きなくなった。 介入・代弁ゼロ。求められた時だけコーチやカウントセラーとして関わる。 以外は、その人の成長に必要な経験が起きていて、その人が克服する命の力があると信じ、愛で見守ることができる |
可能性ベース。疲弊し、ストレスと過労で常にどこかが悪く、週に2−4度、病院やマッサージでメンテナンスが必要 | したいことベース。年に2日くらい風邪を引く程度。ポリープが消え、花粉症も治る。マインドフルに今ここにフォーカスできているので、体と心の変調に敏感で、すぐに適切な対応が取れる。そのためのアイテムやネットワークを完備 |
株・事業など、お金が増えるものにリソース(お金、時間、エネルギー)を投資 | 子・友人・地球環境保護など、愛と真の豊かさと安全が増えるものにリソースを投資 |
自分に正義があり、自分のやり方がベストだと信じる。いかに相手に信じさせ、やらせるかが大事 | 相手の中に神がいる、という前提から話し合える。自分の真実っぽいものに固執しない |
自分の思い通りにしたい | セレンディピティ(偶発性)やインプロヴィゼーション(即興性)の余白を歓迎する。素晴らしい”期待はずれ”によって、知らなかった楽しい豊かな世界に運ばれる |
最後は息子に八つ当たり。家が散らかっている | 家庭の中は調和、日々のルーティンで美しく家が維持されている |
(マリー・)アントワネットさま、と陰口を言われる | 「愛の人」と呼ばれる |
愛なんて弱くて嫌い(2014) | 愛は無敵・最強(2019) |
27歳くらいの頃、広告代理店での仕事がハードすぎて「鬱かも(いや、鬱だったらいっそいいのに!)」と心療内科に駆け込みましたが、鬱ではなく。
先生「主訴はなんなの」
わたし「性格の悪いのが嫌なんです」
先生「それじゃあわかんないからカウンセラーに話聞いてもらってね(1時間1万円)」
という会話になり。
カウンセラーに何十万投資しても解決法が見つかるとは思えなかったし、西洋医学が即対応してくれないんだと、がっかり。
以降、心療内科に行く気にはなりません。
当時わたしに必要だったのはNVCでした。見つけられなくて残念。
心療内科夜間セラーに費やす金額を思ったら、NVCは実用的で安価。
生きづらさを抱えている方々に、ほんとうに試していただきたくて。当時のわたしの苦しさが、今NVCをお伝えする強い情熱になっています。
無敵スターは「愛」
わたしの人生を劇的に変えたNVC。
そのターニングポイントは、NVCが「愛」の効果的な使い方を教えているんだ、と気づいたことでした。
海外ではSpirituality of NVC(NVCの精神性)と呼ばれ、カリスマ・トレーナーのロバート・ゴンザレスなどが伝えています。わたしのNVCの伝え方もその流れにあります。
わたしのクラスは、自分の愛とつながり、自分の力へのアクセスを取り戻し、自分らしい豊かな幸せに満ちた人生を送る方が増えることを願って開催しています。
NVCについて一番いちばんステキにまとまった記事
私が最も影響を受けている師匠である安納献さん(CNVC認定トレーナー)の記事をどうぞ。
いい人間関係があるかどうかで、人生は圧倒的に豊かになる。だけどいったい、どうやったらいいんだろう? 日本一NVCを知る男・安納献さんとグリーンズ鈴木菜央が語り合った