― 母性的な経済の時代へ ―
この宣言は、2025年10月5日、京都でのシューマッハーカレッジ・ジャパン・ツアー「ソーシャル・イノベーション・コース」に参加した翌朝書き上げたものです。
トップの世界観画像は、2001年アメリカで起きた911の翌日にシューマッハーカレッジでつくられたイメージを日本語訳しデザインをつけています。
哲学者Jordi Pigemの呼びかけにより、Holistic Science学科の修士の学生たちによってこの美しいビジョンが作成されました。
美しいストーリーは、元シューマッハーカレッジ教授のDaniel Christian WahlのMediumからお読みいただけます。
まだDanielに著作権確認をとっていないので、転用はご遠慮ください。
マニフェストをGoogle Docでお読みになりたい方はこちらを。英文もあります。
序文
私たちは、効率と成長の名のもとに、
地球の豊かさと人のやさしさをすり減らしてきた。
「もっと、速く、強く」という声にかき消され、
幸福の本質は見失われた。
けれど、いま静かに、新しい時代が生まれようとしている。
それは、母性的な経済――Maternal Economy。
支配ではなく、育み。
搾取ではなく、循環。
分断ではなく、つながり。
経済とは「経世済民」――世をおさめ、人をすくうこと。
それは、余剰と贈与の循環をデザインする、幸福のインフラである。
ビジョン
「母性」とは、出産した女性に限られた性質ではない。
すべての人の中にある、生命を育む力であり、
人間全体の成熟の核である。
Maternal Economyは、生命を中心に据えた循環経済。
支配や競争ではなく、共感によって世界が動く仕組みの設計。
経済を「母のまなざし」で見直すとき、
利益や成長率では測れない価値が見えてくる。
原則(Principles)
Regeneration First
地球が健康であってこそ、人も幸せでいられる。
No Labour
働くことは義務ではなく、ギフトの自己表現。
自他の本質的な幸福への貢献である。
Enoughness over Lackness
不足への恐れを手放し、「足る」を知ることが真の豊かさをもたらす。
Circular Reciprocity
自己中心主義を超え、互恵的な循環の中へ還る。
Time for Life
生き生きと生きるための時間を取り戻す。
行動の方向性(Pathways)
- Well-beingを本質的な豊かさと再定義し、新たな成功指標をつくる。
- 新たな指標に基づき、社会を循環する共同体として再設計する。
- すべての人の中にある母性的価値(maternal values)によるcompassion-driven leadership(愛のリーダーシップ)を育む。
個人が幸せであるとき、
余裕と愛から豊かさが流れ出し、
他者と分かち合い助け合い、循環が生まれる。
個人こそが、経済の起点である。
結語
私たち一人ひとりが、内なる「母性」を呼び覚ますとき、世界はやさしく、そして強く、蘇生する。
豊かさのはじまりは、
いつもあなた自身の内なる平和から。
The future is maternal.
――未来は、母性的である。
2025.10.05
日本初の女性総理が誕生した翌日、京都にて
藤井麗美
